2010年 08月 10日

言いよどみ方その3

e0152956_23295927.jpg言いよどみ方の3種類目は「だ、だ、だ、だから、そうじゃなくて」のようにどもってしまう場合、「この書類ーーの、さんーー枚目のところにサインして、市役所宛ーーに送り返したらいいんーーちゃうかな」のようにだらだらと単語の一部を延ばして発音してしまう場合、「えっと、次はどこに電話したらいいんかな、(1.5秒ほどのポーズ)、あ、多分ここやね」のような発話の間に無言のポーズが入ってしまう場合、、のようなかなり生理的に思われるものです。

まず英語から。私が思うに、英語ではある程度の延伸はOKですが(e.g. "Well―, I don't think so")、日本語のように自由にどこでも伸ばせばいい、というのとは少し違うように思います。日本語では、日常会話の中でももちろん(e.g. 「えーっと、そーじゃなくて、あのーーー、何て言ったらいいんかなーー」)、特に政治家の話し方(e.g. 「我々がー、いちばんにー、考えてー、おりますーのはー、国民のー皆様にー、いかにー、えー、安心してーこの国でー暮らしてーいって頂けるか、というー、ことでーありましてーー、云々云々」)なんか聞いていると延伸が気になってしょうがないことがよくあります。

では英語話者の言いよどみ方がどんなのかというと、「どもり型(この表現は不適切なように思うので、以下「吃音型」と呼びます)」が多いように思います。例えば・・・、

・I, I, I didn't mean that, what I, I, I wanted to to say was, was, ....
・I,i,i,it was not that complicated as as as you think....
・So he went there to, to, to apologize to her initially, b,b,b,but for some reason, he, he, he came straight back home.

などなど。。。短音節の単語なら単語そのものが、多音節の単語ならその冒頭の一部が、日本語の感覚からすると「ちょっとやりすぎじゃないかな?」と思うぐらい繰り返されるのをよく耳にします。とりわけ冒頭に現れる短音節の単語(したがって人称代名詞、指示代名詞など)なんかは吃音度が高いように思います。

以前NHKでも放映されていたアメリカのドラマシリーズ"Ally MacBeal"の主人公Allyは、しゅっちょう発話冒頭の" I "を繰り返して発音していました。これはドラマなので、登場人物の話し方も少々誇張されたものかもしれませんが、でも感覚的には「英語ネイティブの人、こういう話し方するよな・・・」といったところです。もっと言えばWoody Allenなんか、すごいですもんね。あれは不自然のレベルに達しているかもしれませんが、イメージはあんな感じです。

あとよく考えながら話すときに、"I, aaa...I didn't want to do that actually..."のように(分かるかな??)、" I "のあとに"aaa...(実際は「アイ、ヤー」と聞こえる)"という音を挟んで間をおく話し方もよく聞きます。これもわりと時間をかせぐ常套手段として使えます。

あまり「これぞ!」という実例が見つからないのですが、例えばこのインタビュー*なんかを聞くと、最初の1分だけで吃音型の言いよどみ(0:18, 0:28, 0:57などなど)がかなりたくさん出てきます。

次に中国語ですが、日本語と比較すると吃音型の言いよどみがよく使われているような印象を受けます。"我"、"他"、"很"、"有"、"到"などなど、単音節はじゃんじゃん繰り返されているように思います。また単語内の音節を伸ばすタイプの延伸型言いよどみはあまり聞きませんが、単語末を伸ばす延伸はよく使われています**。

例えば吃音型なら
・我我我没有这个意思。
・你你你很渴望自由吗?
・因为因为其实去很很很多国家都都还是会被人家人出来嘛。
・毕竟还是要要演出,演出的时候你你你才发现很多问题呀。。。

延伸型なら
・我们~都~不需要讲话。我们~都知道~对方想做什么。
・演戏的话~真的~不知道~自己有这样的兴趣。
・我觉得~这个演法~比较适合音乐剧。
・我总是~想~两样东西;第一,我~自己~是演戏的跟~唱歌的。。。

などなど。少しでも実例を・・・と思って最近聞いたインタビューなどから例文をとったので、少々語彙が偏ってますが(したがって背景も想像しづらい)、イメージ沸くでしょうか?

あとこれは英語・中国語両話者に言えることですが、ポカッと空白の数秒ができてしまったときに、舌打ちをする人がわりといるんですよね。これも普段すごい気になってるのに、いざ例となる動画・音声を探すと見つからないんですけど・・・。中国の女優さんの赵薇が話すのを聞いていて「よく舌打ちする人だな」と思った覚えがあります。また気になる方はチェックしてみてください。色々観察してると、こんな舌打ちまでも自分が真似してしまっていることに気がついた。

実際にこういった言いよどみで稼げる時間は数秒ですし、確かに生理的な要素が多いと思うので、あまりやりすぎるとわざとらしくなるかもしれません。
「あ、私、英語話者/中国語話者っぽく言いよどんでるわ」という優越感が、言いたいことがスラスラ出ない!という心理的困難を少し楽にしてくれます。そして実際には詰まってるくせに、「ペラペラ喋ってる!」と思わせる効果もありなんです。

*イギリスで活躍する日本人女優の森尚子(naoko mori)さんのインタビューです。幼少期をアメリカで数年過ごした上、12歳からイギリスに移住したということで、日本人なまりはまったくありませんが、とても聞きとりやすい英語を話されます。このインタビューは、彼女が出演していたBBCのドラマシリーズ"Torchwood"にかんするものです。私は去年の夏この"Torchwood"にはまりました。後味が悪くなるエピソードが多かったけどおもしろかった。

**中国語の単語末延伸が多いことは以前紹介した以下の本に詳しく紹介されています。
『文と発話1:活動としての文と発話(第1巻)』 串田秀也・定延利之・伝康晴(編)
"非流ちょう性への言語学的アプローチ:発音の延伸、とぎれを中心に(P 209-228)" 定延 利之・中川(モクタリ) 明子(著)
出版社:ひつじ書房
価格:3,360円


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by mei_mokh | 2010-08-10 23:34


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