2010年 06月 06日

モノリンガルに憧れるバイリンガル

e0152956_2359569.jpg「国産トライリンガルのススメ」なんてブログ書いてますが、以前も書いたように私は本当の意味でのトライリンガルどころか、バイリンガルでさえないです。では私が理解している"本当"のバイリンガルやトライリンガルが何なのかというと・・・。

複数の言語をペラペラ喋れるという表面的なことだけではなくて、「その言語で思考することができるか」とか、文法的なことだけでなくて例えば「この文が英語として自然か」という所謂ネイティブチェックなりプルーフリーディングをできるか、といったもう少し深いレベルで複数の言語を扱えること。

そして何より、バイリンガル=バイカルチュアルという定義は当てはまらない場合もあるかもしれませんが、少なくとも(「バイリンガル」「トライリンガル」という言葉は)複数の言語が自身のアイデンティティの形成と関わっている場合を指すのではないかと思っています。つまり、「自分が一体何者なのか」を定義する上で、その言語が絶対に切り離せない要素になっている、ということです。

私の場合、毎日英語や中国語に触れているし、英語や中国語がなかったら人生の楽しみ半減・・・ではあるけれど、ちょっと忙しかったり、全く違うものに興味が向くと、よっぽど意識していない限り、あれよあれよと言う間に特に英語は自分の人生から抜け出て行ってしまいます。それに引き換え「日本語」は何があっても自分の中から抜け出てしまうことはありません。「日本語」が抜け出てしまったら、思考することさえできなくなってしまって、それはもはや自分ではなくなってしまうのではないかと思います。

「バイリンガルであるか」の判断は白黒はっきり分かれているものではないので、これはちょっと極端な定義かもしれません。ただ上記の条件を満たす場合は、どんな文脈においても「はい、私はバイリンガルなんです」と言ってもいいのではないかと・・・。

で、そういう本当の意味での「バイリンガル」「トライリンガル」って、憧れますよね。そして悔しいですよね。「どーんなに勉強したって敵わないんやもんなー」と思ったりしますよね。

私自身は、語学にのめり込み始めたばかりの頃は、(若いせいもあって)とにかく「バイリンガル」「トライリンガル」にすごーく憧れました。めちゃくちゃ羨ましかった。

実際そんな「バイリンガル」「トライリンガル」の方と知り合う機会もなかったのですが、24歳くらいの時にひょんなことから英語・日本語のバイリンガルの方と、中国語・日本語・韓国語のトライリンガルの方と一緒にアルバイトをすることになりました。仕事内容は全く関係なかったんですけどね。

ラッキーなことに、仕事が終わった後に3人で色々話をすることができました。私の発言には、彼らに対する憧れなり羨ましさなりが随所に含まれていたと思います。実際にどんなことを話したのか具体的には忘れてしまったのですが、たった1つだけはっきりと覚えていることがあります。

それは2人が声を揃えて、

「私は(モノリンガルである)あなたが羨ましい。」

と言ったことです。

「なんで??」

と聞くと、

「私たちは2か国語/3か国語話すことができるけど、それは逆に言うと『どんなことがあっても絶対的な自信を持てる自分の言葉がない』ということ。そして言葉の上でのそういった自信のなさは、一体自分は何人(なにじん)なんだろう・・・というアイデンティティに関する疑問を駆り立てる。 でもあなたには日本語という胸を張って母語と言える言葉があって、その上で自分の意思で他の言語を学ぶことができる。それは素敵なことだよ。」

と言われたのです。その時はすぐに消化できなかったのですが、今では2人が言ってくれたことを理解できるような気がします。

もちろんバイリンガルの方の中には、「私の言語は50%と50%ではなくて、100%と100%なの!どっちの言語も母語です!」と胸を張って言える人もたくさんいると思います。

でも「モノリンガルであるあなたが羨ましい」なんてことを言われて以来、「バイリンガル」と聞くと真っ先に「羨ましい!」という気持ちが沸いていた自分が少し変わりました(そりゃ今でも羨ましいんですけどね^^;)。「自信を持って母語と言える言語があること」のありがたさを自覚できたことで、他の言語を勉強することがより楽しくなったし、「うまくしゃべれないよ・・・」とか「上達しないよ・・・」と落ち込むことがあっても「あせらない、あせらない。私には日本語があって、その上で自分の意思で他の言語を勉強してるんだから。」と考えられるようになりました。

こんな考えが、日本人に多い「外国語コンプレックス」を少しは緩和してくれると嬉しいんですが^^ 


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by mei_mokh | 2010-06-06 00:04 | バイ(トライ)リンガルについて


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